中央学院大学中央高等学校様
1900年(明治33年)仏教学者高楠順次郎博士が欧米を視察し、教養の高い商業人の育成を目的として、建学の精神である「誠実に謙虚に生きよ 温かい心で人に接し 奉仕と感謝の心を忘れるな 常に身を慎み反省と研鑽を忘れるな」の教えの下、校主に高楠順次郎、初代校長には南岩倉具威男爵の布陣で「日本橋簡易商業夜学校」として設立。2001年に現在の江東区亀戸へ移転、2025年に創立125周年を迎える。
iPadをデバイスとして導入したのは、やはり長期的に使えるという点
【お話を伺った先生】
安達柊先生
教育活動について
貴校の建学の精神を教えていただけますでしょうか。
(安達先生)
本校の建学の精神は、1900年に高楠順次郎博士が制定した「誠実に謙虚に生きよ 温かい心で人に接し 奉仕と感謝の心を忘れるな 常に身を慎み反省と研鑽を忘れるな」になります。商業教育から始まった学校であり、1998年に現在の中央学院大学中央高等学校に校名を変更しました。普通科と商業科を設置していますが、普通科は、基礎的な学力の向上から大学進学を目指したカリキュラムを設定し、授業を展開しています。商業科は、全国商業高等学校協会の簿記実務検定、ビジネス文書実務検定、情報処理検定の資格取得というところを大きな柱としております。私自身は商業科の教員なのですが、検定試験の取得に向け放課後の補習等を行っており、教員と生徒の距離の近さという点を本校の特徴の一つとして考えております。生徒には、様々なツールを通じてこれからの時代を生きていく力を身につけていくとともに色々なことにチャレンジし、羽ばたいていってほしいという思いを抱いております。
一人一台端末所持体制について
iPadを一人一台所持するようになったのはいつからでしょうか?
2017年4月から一人一台デバイスを所持するような形をとっております。この体制は、当時他校でもあまり前例がなかったのですが、先進的な教育を生徒に提供したいという想いから端末の一人一台の導入に至ったと導入時の担当者から聞いています。もちろん導入にあたって、教員間でも様々な議論がありましたが、端末を持つことを前提に検討を進めていたそうです。体制を構築するにあたってですが、普通教室のWi-Fi環境に関して、生徒が端末を持つようになるとインターネット回線の弱さが露呈をしたのでネットワークの改善をしました。また導入当初は個人の端末を所有している学年とそうではない学年があったので、利用する場所を配慮するような工夫を学校として行いました。
色々なデバイスがある中でiPadを選択した理由はどこにあるのでしょうか?
iPadをデバイスとして導入したのは、やはり長期的に使えるという点です。端末の検討当時、WindowsやAndroidタブレットがあまりなかったということもありますが、保護者に購入いただくため、製品としてサイクルが長く、高校卒業後も十分に使用できるということもあり、iPadを選定しています。
デバイスの導入にあたり教員間での意識差はなかったのでしょうか?
授業でのデバイスの活用状況は教員間によって差があるのが実情です。一方で、本校の教員は新しいものに対して否定的ではなく肯定的に捉える方が多いので、大半の教員が何らかの形でタブレットを使っています。そのような点からも、デバイスを導入することを否定的に捉えていたということはあまりなかったのではないかと感じています。
教育活動にiPadを導入したことで得られた効果はありますでしょうか?
教員は、紙の資料が減ったというところが一番だと思います。また、コロナ禍でオンライン授業をすることとなった際、既に校内でタブレットの運用がある程度できていた状態だったため、教員だけではなく生徒も比較的スムーズに対応できたように感じました。生徒は授業において活用するだけではなく、それ以外の部分においても様々に活用しているように見受けます。使用上の制限もかかっている部分もありますが、うまくデバイスを利用しているのではないかと感じています。それ以外でも、本校への入学を志望する中学生にも、iPadを購入し授業で使用することに対して良い反応をいただいているようです。中学生にとっては新鮮に映る部分なのではないでしょうか。
iPadを使用していることへの生徒の反応はどのようなものでしょうか?
中学校から当たり前のようにデバイスを使ってきているような生徒も増えてきているので、デバイスを使うことが当たり前だよねという反応が以前よりも増えてきているように思います。iPad上でレポート提出が行われていたりしますが、操作がわからずレポートを提出しないといったこともありませんので、生徒の新しいものへの吸収スピードの早さというものを日々実感しております。
保護者からの反応というのもあるのでしょうか?
当然のことですが、ポジティブな面もあればネガティブな面もあるのが実情です。ポジティブな面から話をすれば、特にコロナ禍の始まりにおいて、タブレットが手元にあることでオンライン授業にスムーズに移行することができました。結果、他校では休校状態となっている中、本校はオンラインで対応していることに好評いただきました。一方で、勉強道具としてデバイスを使いこなしきれていないという声があるのも事実です。
MDM(モバイルデバイス管理ソリューション)としてJamfを利用いただいていますが、導入の効果について教えていただけますでしょうか?
MDMに関しては、導入初年度は別のものを利用していたという経緯があります。そちらの仕様は使いづらい部分があったので、2年目以降はJamfをご提案いただき使用していますが、生徒のiPadを預かることなく遠隔で様々な指令を出すことができるので、管理が容易になりました。
教育活動での使用状況について
教育活動における教員の活用方法について教えていただけますでしょうか?
普通教室は電子黒板が全教室に備わっておりますので、iPadを通じて授業のプリントやデジタル教科書を投影することが可能となっています。生徒が持っているプリントと同じものを投影でき、準備も簡単にすることができるので、授業が非常にスムーズに進みます。そういったものがなかった時に比べると、生徒の理解度も増しているのかなと感じています。他の活用例ですと、化学の実験やレポートを紙ではなくiPadで提出をさせたり、webテストや授業の振り返りアンケートの配信などをしております。
教員間の連携でiPadを活用することもあるのでしょうか?
資料のやり取りはAirDropでファイルを渡すような場面もあります。会議等で完全に紙をなくすというところまでは至っていませんが、一部は紙をなくすような形で会議をしています。
iPadを上手に活用している生徒さんはいらっしゃいますでしょうか?
授業のプリントを撮影してペンで書き込んで自分で繰り返し何度も勉強できるようにしている生徒の姿を見受けます。また、スケジュール管理をすべてiPad上で行っている生徒もいます。内蔵アプリであるkeynoteでプレゼンテーションを作成している生徒もいたり、iMovieを使って新入生向けの部活動紹介を生徒自身が作成し、一本の動画にしていたりもします。授業等で内蔵アプリの操作方法を教えなくても、生徒自ら調べながら文字や字幕を入れたり、編集をして作り上げています。
授業以外の場面でiPadを活用している事例について教えていただけますでしょうか?
体育祭や文化祭などの学校行事でiPadを使用しています。本校はスマートフォンの校内利用が禁止になっていますので、何か調べ物をしたいとか写真を撮りたいというような場合は、iPadを使って撮影するよう指導をしています。その関係で学校行事において写真を撮るためにiPadを持ってきて共有するということをしているようです。また、iPadがあるおかげで教員と生徒間の連絡をすることが容易になりました。学習支援ソフトによってメッセージのやり取りができるようになっているので、部活の日程や大会の予定を配布したりしています。その他にも、練習風景を動画で撮影することによって、自分の課題を把握することにつながっています。私は卓球部の顧問なのですが、ラケットをこう振ればいいよというところが生徒にうまく伝わっていなかったりするものなので、iPadで撮影した動画を見せながらアドバイスをしています。映像があることでスムーズに指導ができるようになったと思っています。委員会活動も、集まりの連絡を教員が直接生徒にすることができますし、会議の資料をタブレットに配信することができるので、紙の資料を印刷する手間がなくなりました。また、生徒会は、生徒会新聞も生徒のiPadで作成しています。
iPadの導入前後で教育活動の内容の変化や、従来の課題が解決した側面はあるのでしょうか?
私自身全学年がiPadを持っているわけではない時期を経験しているので、iPadを導入したことで生徒とのやり取りが非常にスムーズになったことが一番の変化だと感じています。例えば進路指導において、面接練習で気になったところをすぐメモアプリに入力し、生徒のiPadにAirDropで配布して、改善が必要となる箇所の話ができるようにしています。また、授業内で調べ学習がすぐできるようになったことも利点だと思います。スマートフォンを校内で使えないので、パソコン室へ行って調べるといった場面がありましたが、現在はそういったことが一切なく、わからなかったらタブレットで調べてごらんということを言いやすくなったと思います。また、生徒と同じプリントを黒板に写した状態で授業ができるので、生徒に注目させる箇所の指示がしやすくなったことにメリットを感じています。
iPadを利用して学んだ生徒に安達先生が期待されることはありますでしょうか?
インターネットやIT・ICTスキルは、これからの時代を生きていく上で絶対に必要とされるものだと思っています。それらに子どもの頃からたくさん触れることで、人生を豊かにしてくれる、良き相棒になってもらいたいと思っています。
加賀ソルネットについて
BYODサービスアカデミコナビを利用いただいている感想はいかがでしょうか?
シンプルでわかりやすいというところが一番大きいと思っています。保護者世代になってくるとICTの得意なご家庭もあれば、苦手なご家庭もあるという中で、シンプルでわかりやすく順を追って説明がなされているチラシを丁寧に作っていただいていますし、修正依頼をかけるとすぐに対応いただいているというところも非常に満足しております。ECサイトもシンプルであり非常に伝わりやすいものなのでとても助かっています。
導入業者として加賀ソルネットを選択し、満足いただいている点と今後期待する点を教えていただけますでしょうか?
本校のお願いにスピーディーに対応いただいている点に大変満足をしております。デバイス本体だけではなく、オプション品等の提案もしていただけますので、今後も適宜色々な提案をしていただけますととても助かります。また、本校の入試のスケジュール等も理解していただいた上で、納入のタイミング等も調整をしていただいているのでとても感謝をしています。iPadは保護者の方にご購入をいただいていますので、納入をして終わりではなく、そのあとのケアをしていただき大変助かります。また、数年前から販売後の振り返りもいただくようになって、次年度以降の改善や保護者からのお問い合わせ内容も知ることができるようになりました。その内容は我々が次年度の購入をお願いする時の説明で役立っている部分もありますので、そういったところで今後とも変わらぬサポートをいただくことを期待します。